診療支援
診断

大腸ポリープ
Polyp of the Colon and Rectum
田中 信治
(広島大学大学院教授・内視鏡医学)

診断のポイント

【1】ポリポーシス以外の単発病変では,大きくなり出血・腸重積・狭窄などを生じない限り,臨床症状や一般検査所見に異常は認めない。

【2】注腸X線造影では円形接線像,透亮像,陰影欠損を呈する。

【3】内視鏡所見は局所的隆起病変であるが,その表面性状やpit patternは診断上重要である。

症候の診かた

【1】多くは無症状である。

【2】便潜血反応陽性になることもある。大きくなると,血便・腸重積による腹痛を伴うこともある。

【3】Peutz-Jeghers症候群:小腸ポリープを先進部とした腸重積が発生しやすい。

【4】若年性ポリープ:誘因なく顕血便を呈すことがある。

【5】Cronkhite-Canada症候群:下痢・低蛋白血症を伴うことがある。

【6】ポリポーシスの大腸外病変(表1):特異的な身体所見として,デスモイド腫瘍,骨腫(家族性大腸腺腫症),口唇・口腔粘膜の色素沈着(Peutz-Jeghers症候群),脱毛,爪甲脱落,びまん性色素沈着(Cronkhite-Canada症候群),多発性丘疹,乳頭腫,甲状腺・乳腺腫瘍(Cowden病)などがあり,そのチェックが重要である。

検査所見とその読みかた

【1】注腸X線造影:ポリープに対応した異常陰影を示す。小病変では,体位変換や多方向撮影で便や憩室との鑑別が必要である。

【2】内視鏡検査:内腔に発生した病変は原則として視認しうるが,小病変では屈曲やひだに隠れて見えにくいこともあることに留意する。

確定診断の決め手

【1】組織所見の鑑別:ポリープと診断しても,それがどのような組織所見かによって取り扱い方針が異なることから,形態,大きさ,表面微細性状に留意する。

【2】腫瘍・非腫瘍の鑑別や癌・非癌の鑑別:色素散布に加えて,拡大内視鏡観察によるpit pattern診断や,narrow band imaging (NBI)やblue laser

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