診療支援
診断

体質性黄疸
Constitutional Hyperbilirubinemia
徳重 克年
(東京女子医科大学教授・消化器内科)

診断のポイント

【1】ヘモグロビンの代謝産物であるビリルビンは脂溶性であり,肝細胞でグルクロン酸抱合され,水溶性となり胆汁中へ排泄される。このビリルビン代謝の経路の先天性異常に伴う高ビリルビン血症が体質性黄疸である。

【2】体質性黄疸は,間接型ビリルビン優位で黄疸が出現するGilbert症候群,Crigler-Najjar症候群Ⅰ型,Ⅱ型と,直接型ビリルビン優位で黄疸が出現するDubin-Johnson症候群,Rotor症候群に分類される。表1にそれぞれの特徴を示す。

【3】Crigler-Najjar症候群のⅠ型とⅡ型はきわめてまれであり,出生直後~乳幼児期から著明な黄疸が出現する。その他の体質性黄疸は,自覚症状がなく,思春期以降に軽度の黄疸や検診などで発見される。

【4】総ビリルビンが上昇し,疾患により直接型ビリルビンは正常または高値を呈する。

【5】AST,ALT,ALPの肝胆道系酵素は基本的に正常であり,溶血も認めない。

緊急対応の判断基準

【1】Crigler-Najjar症候群Ⅰ型:新生児期に高度の黄疸で診断され,放置すると核黄疸になる。核黄疸に対して光療法,血漿交換や肝移植が必要となる。

【2】Crigler-Najjar症候群Ⅱ型:新生児期以降に高度の黄疸持続で発症し,核黄疸の予防のため,光線療法,フェノバルビタール投与を行う。

【3】その他の体質性黄疸:緊急対応の必要はない。

症候の診かた

 Crigler-Najjar症候群以外の体質性黄疸はほとんど自覚症状がなく,思春期以降に軽度の黄疸や検診などで発見される。

検査所見とその読みかた

【1】Crigler-Najjar症候群以外の体質性黄疸は,総ビリルビン値の軽度上昇(多くは総ビリルビン値が5mg/dL以下)にとどまる。またAST,ALT,ALPなどの肝胆道系酵素は正常で,また溶血などの所見も認めない。

【2】直接型ビリルビン値

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