診断のポイント
【1】女性が90%以上である。
【2】片側性のことが多く,両側性でも左右差がみられることが多い。
【3】二次性であれば,既往として上肢であれば乳癌,下肢であれば婦人科系癌術後(図1図),放射線治療後,蜂窩織炎後に発症することが多い。
【4】ゆっくり発症して,ゆっくり進行する四肢のびまん性腫脹。
【5】原発性では10歳台から特に誘因がない,無痛性の下肢腫脹で発症することが多い。
症候の診かた
【1】腫脹:二次性では手術部位に近いほうから(中枢側から),原発性では末梢側から腫れてくることが多い。
【2】Stemmer sign(図2図):軽症の場合,圧迫痕が残るが,進行すると皮膚が硬くなり,指で患側指趾の皮膚がつまめない(Stemmer sign陽性)となる。
【3】周径2cm以上の左右差がみられる,皮静脈がみえにくい。
【4】多毛,皮膚色調変化少なく,痛みは少ない。
検査所見とその読みかた
【1】下肢超音波検査:皮下の水分貯留や皮下組織肥厚を観察する。発症1年以上経過例では敷石状所見を呈することが多い(図3図)。
【2】リンパ管シンチグラフィ:リンパ浮腫の確診を得るために最も有用で,国際リンパ学会でも推奨される診断法。99mTcを足趾間皮下に注入し,撮影する(図4図)。
【3】蛍光リンパ管造影:インドシアニングリーン色素(ICG)を用い,体表の浅いリンパ管の走行や機能動態を観察。主にリンパ管静脈吻合の術前評価で行われることが多い。
【4】CT:皮下組織の肥厚と液体貯留がみられ,いわゆる蜂巣状サインといわれる所見を呈する(図5図)。骨盤内に癌再発や静脈圧排病変,深部静脈血栓症などほかの疾患を鑑別するために必要である。
確定診断の決め手
【1】片側性で,比較的緩徐な経過で発症し,むくみ以外の所見に乏しい。
【2】癌手術の既往(上肢であれば乳癌,下肢であれば婦人科系癌が大部分を占める)。
【3】エコー上
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