診断のポイント
【1】腎障害または糸球体ろ過量(GFR)<60mL/分/1.73m2が3か月以上持続することで診断する(表1図)。
【2】腎障害の中では,蛋白尿の存在が重要:CKDの重症度は原因(Cause:C),腎機能(GFR:G),蛋白尿(アルブミン尿:A)による重症度分類(CGA分類)で評価する(表2図)。
【3】CKDの早期には自覚症状がない。
【4】透析導入に至る原疾患のなかでは糖尿病が最多(表3図)。
緊急対応の判断基準
以下のような場合は,緊急処置の必要性が疑われるため,すみやかに腎臓専門医へ紹介する。
【1】腎機能の低下が速いとき:具体的には腎機能(GFR)が3か月で30%以上低下する場合
【2】電解質異常,特に血清カリウム値5.5mEq/L以上の高カリウム血症がある場合
【3】呼吸困難,胸水・腹水,食思不振,アシデミアなど,慢性腎不全に伴う症状がみられる場合(表4図)。
症候の診かた
【1】CKDに特徴的な徴候はない。
【2】CKDには原疾患がある(表3図)。その疾患の徴候を見逃さないことが重要である。
【3】CKD全体の4分の3は尿異常がなくGFRの低下のみで診断される(表5図)。その多くは加齢あるいは動脈硬化に伴う腎硬化症と考えられる。
【4】進行した際の症候には全身倦怠感,食思不振,労作時息切れなどがある(表4図)。
検査所見とその読みかた
【1】診断のための検査
❶尿蛋白・尿アルブミン検査
■試験紙法で尿蛋白が±以上の場合,定量検査を行う。蓄尿検査で蛋白尿0.15g/日,随時尿検査でUPCR(尿蛋白/クレアチニン比)0.15g/gCrがCKD診断の基準となる。
■原疾患が糖尿病の場合は,アルブミン尿30mg/日あるいはACR(尿アルブミン/クレアチニン比)30mg/CrがCKD診断の基準となる。
❷血尿
■試験紙法で尿潜血陽性例では,尿沈渣検査を行う。
■尿中赤血球数20/μL以上,尿沈渣