診断のポイント
【1】再生不良性貧血では汎血球減少を,赤芽球癆では赤血球のみの減少を認める。
【2】再生不良性貧血は2014年調査では有病率8.7(人口10万人対)であり,比較的まれな疾患である。赤芽球癆は再生不良性貧血の約7%と推定される。
【3】基礎疾患がない特発性も含めた後天性赤芽球癆と先天性赤芽球癆に分類される。
❶先天性赤芽球癆はパルボウイルスB19感染,胸腺腫,自己免疫疾患などが基礎疾患となることがある。
❷後天性赤芽球癆のなかでは特発性が約40%を占める。
❸抗エリスロポエチン(EPO)抗体による赤芽球癆は,EPO製剤の改善により現在はきわめてまれである。
緊急対応の判断基準
【1】急速に汎血球減少が進行する場合,特に好中球減少が顕著な場合,すみやかに専門医が常勤している施設に紹介したほうがよい。
【2】好中球減少時の発熱は重症感染のリスクが高く,すみやかに強力な抗菌薬を開始する。発熱性好中球減少症の対応を行う。
【3】出血が止まらないときは大至急,血小板輸血を行う。
症候の診かた
【1】再生不良性貧血
❶自覚症状は労作時の息切れ,動機,めまいなど貧血症状と紫斑,歯肉出血,鼻出血などの出血傾向が多い。好中球減少時には易感染性に伴う発熱が認められることで発覚することがある。
❷他覚症状として顔面蒼白,紫斑,皮下出血,歯肉出血などがみられる。眼底出血による視力障害を認めることがある。
【2】赤芽球癆:診断時,すでに重篤な貧血であることが多い。
検査所見とその読みかた
【1】末梢血
❶赤芽球癆,再生不良性貧血とも赤血球,ヘモグロビン(Hb)値,網状赤血球数が減少する。
❷再生不良性貧血では白血球と血小板も減少する。
【2】血液生化学・血清検査所見
❶鉄の利用が低下するため血清鉄,鉄飽和率は上昇する。
❷慢性型ではフェリチンが上昇している例もある。
❸貧血に対応して血中EPO値が上昇する。
【3】骨髄穿刺および骨髄
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