診療支援
診断

血栓性血小板減少性紫斑病
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Thrombotic Thrombocytopenic Purpura (TTP)
宮川 義隆
(埼玉医科大学教授・総合診療内科(血液)・血栓止血センター)

診断のポイント

【1】血小板減少。

【2】破砕赤血球を伴う溶血性貧血。

【3】動揺する精神神経症状(混迷,麻痺など)。

緊急対応の判断基準

【1】後天性TTPを疑う場合:すみやかに血漿交換療法を開始する。

【2】自施設で対応できない場合:TTP診療の経験がある高次医療機関に搬送する。

症候の診かた

【1】溶血性貧血:黄疸を認める。

【2】血小板減少:多くの症例で<30,000/μL以下となる。出血症状を伴わない。

【3】動揺する精神神経症状:脳の微小血栓により,一過性の混迷,麻痺を認めることがある。

【4】発熱:必ずしも発熱しない。

【5】腎障害:溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS)と異なり軽症である。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング検査:血小板減少と溶血性貧血は必須である。

【2】補助検査:破砕赤血球,間接ビリルビン高値,血清乳酸脱水素酵素(LDH)高値,ハプトグロビン低値,直接Coombs試験陰性。

【3】確定検査:血漿中のADAMTS13酵素活性<10%となる。後天性TTPの90%は,ADAMTS13インヒビター陽性となる。

確定診断の決め手

【1】突然発症する血小板減少と微小血管障害性溶血性貧血。

【2】自己免疫性溶血性貧血,播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)の否定。

【3】ADAMTS13酵素活性<10%の確認(確定診断)。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】溶血性尿毒症症候群(HUS)()

❶志賀毒素を産生する病原性大腸菌の感染症で発症する。主な症状は腹痛と血便。血液透析を必要とする重度の急性腎不全を特徴とする。

❷夏場のキャンプ,バーベキューによる集団発症が多い。

❸確定診断は便中の志賀毒素,または病原性大腸菌の検出による。

【2】播種性血管内凝固症候群(DIC)():

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