診療支援
診断

骨髄異形成症候群
††
Myelodysplastic Syndromes (MDS)
宮﨑 泰司
(長崎大学原爆後障害医療研究所教授・血液内科学研究分野)

診断のポイント

【1】高齢者に多いクローン性造血器腫瘍の1つ。

【2】無効造血による,貧血を中心とする血球減少。

【3】末梢血,骨髄での血球異形成と芽球の増加。

【4】造血細胞の染色体異常(ほぼ半数で異常がみられる)。

【5】急性白血病への移行がみられる。

症候の診かた

【1】貧血

❶血球減少では貧血の頻度が最も高く90%以上の例でみられる。

❷一般的な治療には抵抗性で,貧血に加えて好中球減少や血小板減少を合併する例があり,進展例ほど血球減少が強く減少している血球系統数も増加する。赤血球輸血依存例も多い。

❸貧血の程度に応じて,倦怠感,易疲労感,動悸,労作時息切れといった症状を示す。

【2】易感染性:好中球減少と異常造血に伴う好中球機能異常が相まってさまざまな程度の易感染性を示す。ほとんど感染を生じない例から,肺炎や敗血症など重篤な感染症を繰り返す例までみられる。

【3】出血傾向:血小板減少の程度によるが,一般には血小板数として20,000/μLを下回ると出血傾向が明らかとなってくる。生活状況や感染合併などの状況によって出血症状には変化がみられる。

【4】急性白血病への移行:高リスク群ではより高率に急性白血病への移行がみられる。移行があれば急速に造血不全が進行するとともに,白血病細胞の組織浸潤に伴う症状(歯肉,臓器腫大,中枢神経系への浸潤など)も出現する。

検査所見とその読みかた

【1】血液検査

❶血球減少:一般血液検査では血球減少がみられ,特に大球性貧血の頻度が高い。貧血はほとんどの例でみられるため,高齢者の大球性貧血では必ず本疾患を考える必要がある。

❷好中球減少:白血球分画を検討すると好中球減少(多くは1,800/μL以下)を伴うこともある。

❸芽球増加:芽球増加も本疾患の特徴であり,末梢血では5%未満の芽球を観察することがある。

❹血小板数減少:減少がみられる例の多くは100,000/μL以下となるが,

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