診断のポイント
【1】高齢者,発症年齢中央値71歳。男女比は2:1。
【2】末梢血に単クローン性成熟小型Bリンパ球が5,000/μL以上に増加。
【3】細胞マーカーはCD5,CD23陽性が特徴。表面免疫グロブリンやCD20の発現が弱い。
症候の診かた
【1】発症初期には無症状で,検診などで末梢血の白血球増加もしくはリンパ球増加を指摘されることが多い。進行すれば,リンパ節腫大や肝脾腫,骨髄浸潤による貧血,血小板減少,好中球減少などを示す。
【2】病期の判定には,Rai分類(表1図)が用いられる。病期診断のための肝脾腫の判定は,画像診断ではなく身体診察所見によって行う。
【3】異常リンパ球の増加による免疫の低下,好中球減少により抵抗力の低下により,感染を合併しやすいため,発熱や肺炎を疑わせる呼吸器症状に特に注意が必要である。
検査所見とその読みかた
【1】形態診断
❶診断するためには,末梢血で白血球の増加があることが前提になる。増えている白血球の性質を確認するために,塗抹標本で細胞の形態を確認する。
❷白血病細胞は小型成熟リンパ球である。小型リンパ球とは,標本上の赤血球2個の直径の和より細胞質の形態が小さいことを意味する。
❸わが国で行われている塗抹標本の作製法は強制乾燥法(風乾)で,欧米で行われている自然乾燥法と異なっている。風乾では細胞質が広くなるため,小型リンパ球が判定しづらい。診断のためには,血液を塗抹後1~2時間室内で乾燥させた自然乾燥標本を用いる必要がある(図1図)。
【2】単クローン増殖
❶CLLで末梢血に増えている細胞は単クローン性Bリンパ球である。単クローン性であることは,細胞表面免疫グロブリン軽鎖にκ鎖またはλ鎖の偏りがあること(軽鎖制限),または細胞遺伝子のサザンブロット法で免疫グロブリンの再構成があることで証明する。
❷臨床的にはCLLのBリンパ球は,CD5,CD23陽性という特徴的
関連リンク
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/皮膚良性リンパ腺腫症
- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/EBウイルス関連リンパ腫とNK細胞リンパ腫
- 臨床検査データブック 2023-2024/白血球の細胞化学的検査 PAS(パス)染色 [保]*
- 臨床検査データブック 2023-2024/赤血球・好中球表面抗原検査 [保] 320点
- 臨床検査データブック 2023-2024/B細胞表面免疫グロブリン [保] 157点
- 臨床検査データブック 2023-2024/ナチュラルキラー〔NK〕細胞活性
- 内科診断学 第3版/無痛性の頚部リンパ節腫脹
- 内科診断学 第4版/睡眠中の奇行
- 新臨床内科学 第10版/【1】特殊染色
- 新臨床内科学 第10版/【2】細胞表面マーカー解析
- 新臨床内科学 第10版/【10】慢性リンパ性白血病
- 新臨床内科学 第10版/【11】有毛細胞白血病