診断のポイント
【1】抗HTLV-1抗体陽性であることを確認する。
【2】末梢血の鏡検における特徴的な異常リンパ球(ATL細胞)の存在に留意する(図1図)。
【3】血清LDH,高カルシウム血症,ATLの皮膚病変,リンパ節腫大,その他臓器病変を確認し,ATLの臨床病型分類(表1図)に従って病型を決定する。
緊急対応の判断基準
【1】インドレントATL
❶ATLの臨床病型分類において,くすぶり型と,予後不良因子(表1図脚注参照)を有さない慢性型は比較的進行の緩やかなインドレントATLとされる。
❷インドレントATLと診断される場合には,すみやかに血液内科専門医へ紹介し,経過観察を行う。
【2】アグレッシブATL
❶急性型,リンパ腫型,および予後不良因子を有する慢性型は予後不良であり,アグレッシブATLとして早期の治療介入の対象となる。
❷アグレッシブATLと診断された場合は,すみやかに血液専門医にコンサルトする。特に,意識障害・高カルシウム血症を認める場合は高カルシウム血症の治療を行いつつ早急にコンサルトする。
症候の診かた
【1】リンパ節腫大:積極的に生検を行い,確定診断を得る。
【2】白血球増多・リンパ球増多:フローサイトメトリーを用いたリンパ球表面マーカー検索を積極的に行う。
【3】皮膚病変:可能な限り生検を行い,確定診断を得る。皮膚科との連携も重要である。
【4】高カルシウム血症:他の検査所見と合わせて本疾患を疑う。
【5】意識障害:中枢神経浸潤を疑い,髄液検査,髄液細胞診検査などを考慮する。
【6】日和見感染症:高度の免疫不全を引き起こす可能性があり,ニューモシスチス肺炎や糞線虫症を認めた場合,本疾患を疑う。
検査所見とその読みかた
【1】鏡検:末梢血血液像において,核に切れ込みを有する異常リンパ球や花弁様核を有する異常リンパ球が認められる。無症候の場合でも検診などを契機に特徴的な所見から診断に至る症例も
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