診療支援
診断

非Hodgkinリンパ腫
Non-Hodgkin Lymphoma
塚田 信弘
(日本赤十字社医療センター・血液内科副部長)

診断のポイント

【1】体表に長径2.0cmを超える無痛性のリンパ節腫大を複数認める場合,悪性リンパ腫を疑う。

【2】2013年の悪性リンパ腫の罹患率は人口10万人あたり約20人で,40歳以上の割合が95%,60歳以上の割合が79%を占める。

【3】健診やほかの併存疾患の経過観察中に偶発的に見つかることもある。胃MALT(mucosa-associated lymphoid tissue)リンパ腫をはじめとする消化管原発の非Hodgkinリンパ腫は内視鏡検査で診断されることがある。

【4】病型により進行の速さが異なる(表1)。最も頻度の高いびまん性大細胞型B細胞リンパ腫では週~月の単位で進行するのが一般的であるが,濾胞性リンパ腫では年単位で無治療経過観察が可能な症例も存在する。

緊急対応の判断基準

【1】リンパ節腫大が日の単位で増大するときやLDH値が急速に上昇するとき。

【2】水腎症や上大静脈症候群を含むリンパ節腫大による臓器の圧迫症状がみられるとき。

【3】汎血球減少症を併発することが多い血管内大細胞型B細胞リンパ腫では診断および治療に緊急を要する。

症候の診かた

【1】問診:リンパ節腫大に気づいてからの期間,発熱の有無,体重の変動について問診する。

【2】リンパ節腫大

❶体表リンパ節の腫脹部位,最大径を評価する。

❷感染などによる反応性リンパ節腫大では,通常1~1.5cm大にとどまり,圧痛を伴うことが多い。

長径が2cm以上で無痛性の場合にはリンパ腫が鑑別診断となる。

❹非Hodgkinリンパ腫によるリンパ節腫大では弾性硬のことが多く,Hodgkinリンパ腫や固形癌のリンパ節転移では非Hodgkinリンパ腫に比して硬く可動性に乏しい傾向がある。

【3】脾腫

❶一部の非Hodgkinリンパ腫では脾腫が主要な症候で,リンパ節腫大を欠くことがある。

❷門脈圧亢進症などの非腫瘍性疾患や骨髄線維症などの血液疾患

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