診療支援
診断

褐色細胞腫・パラガングリオーマ
††
Pheochromocytoma and Paraganglioma(PPGL)
竹越 一博
(筑波大学教授・臨床検査医学/スポーツ医学)

診断のポイント

【1】高血圧(発作型が特徴的である),代謝亢進,高血糖,頭痛,発汗過多。ただし非特異的なので,若年発症・重症・治療抵抗性の高血圧では本疾患を常に疑う。

【2】血中遊離メタネフリン2分画測定法は感度が高いため,スクリーニング法として最も優れている。

【3】CT/MRIで腫瘍,心筋交感神経(MIBG)シンチグラフィで取り込みを認める。

【4】約40%は遺伝性であり,特にSDHB変異は悪性化と関連する。

【5】潜在的に悪性であるため,遺伝性では終生,非遺伝性でも最低10年のフォローが勧められる。

緊急対応の判断基準

【1】高血圧クリーゼ(褐色細胞腫クリーゼ):まずは血圧の急激な上昇。診断基準としては,血圧が収縮期圧で180mmHg以上,または拡張期圧で120mmHg以上を超えることが多い。その際激しい頭痛・強い不安感・息切れ・鼻出血といった症状が現れるのは危険な徴候である。

症候の診かた

 「5H」が有名である:Hypertension(高血圧),Headache(頭痛),Hyperhidrosis(発汗過多),Hyperglycemia(高血糖),Hypermetabolism(代謝亢進)。また,高血圧による臓器障害(高血圧性網膜症,心肥大,心筋障害,腎機能障害による蛋白尿)を生じる。ただし,どの症状も本症に特異的でないため,症状からのみで診断は困難である。

【1】発作性の高血圧が特徴とされている。

【2】血管収縮による発汗,顔面蒼白,四肢冷感など。

【3】慢性的な血管収縮は体液量の減少をもたらし,体位により低血圧が起こりやすい。

【4】耐糖能異常や糖尿病。

検査所見とその読みかた

【1】血中遊離メタネフリン2分画測定法:スクリーニング検査として最も勧められる。同法は最大で99%の感度を示す。したがって,本法でカットオフ値内の結果が得られれば,褐色細胞腫の可能性は低い。

【2】尿中メタネフリン

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?