診断のポイント
【1】高コレステロール血症:スタチンがほぼ無効。食事療法,レジン(陰イオン交換樹脂)またはエゼチミブが著効。
【2】血清シトステロール濃度上昇(1mg/dL以上;症例では通常10~65mg/dL)。
【3】皮膚黄色腫または腱黄色腫の存在。
【4】早発性冠動脈疾患(男性45歳未満,女性55歳未満)。
【5】現行の確定診断基準(表1図)では,ABCG(ATP binding cassette subfamily G)5またはABCG8の遺伝子異常の証明が必須(常染色体劣性遺伝疾患)。
症候の診かた
以下の頻度は,症例報告67例(平均年齢18.2歳)の個々の論文に記載があった症候をまとめた頻度である。
【1】黄色腫(結節性黄色腫,腱黄色腫,扁平黄色腫)(図1図,2図):ほとんどの症例で出現する。小児期より出現していることが多く,コスメティックな観点から黄色腫の切除術を受けている症例もある。
【2】関節痛,関節炎:1割以上の症例に認める。成人期になってから症状が出ることが多い。
【3】脾腫:貧血,血小板減少と関連する。16%以上の症例に認める。
【4】早発性冠動脈疾患:男性45歳未満,女性55歳未満で起こることが多い。報告症例の32.8%に虚血性心疾患の記載がある。
検査所見とその読みかた
【1】高コレステロール血症:小児期は非常に高値で800mg/dL以上となるケースもある。成人期でも,軽度から中等度,時に高度(400mg/dL程度)の高値となる。
【2】血清シトステロール高値
❶正常人では1mg/dL未満である。ヘテロ接合体では1mg/dLを超えることもあるが,現在までの報告症例では2.1mg/dLが最大である。
❷一方,シトステロール血症での最低値は4.68mg/dLであり,平均22.95mg/dL,最大68.1mg/dLである。
【3】血小板減少症,貧血:脾腫に伴い出現する。記載のある報告