診断のポイント
【1】皮膚・粘膜の局所性浮腫。
【2】非圧痕性。
【3】数時間~数日の経過で消退することを繰り返す。
【4】眼瞼,口唇,四肢に現れやすい。
【5】明らかな局所熱感がない。
緊急対応の判断基準
【1】気道浮腫による呼吸困難がある場合。
【2】アナフィラキシー症状を伴う場合(血圧低下,咳嗽・くしゃみ,流涙,嘔吐,広範囲の皮膚の紅潮など)。
【3】Ⅰ型アレルギーによるもの,遺伝性血管性浮腫(hereditary angioedema:HAE),アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬内服中に生じたもの:気道閉塞による窒息の危険性があり,慎重な経過観察またはすみやかな気道確保が必要なこともある。HAEの場合はイカチバント(ブラジキニンB2受容体拮抗薬)の皮下注またはC1インヒビター(C1-INH)の静注によりすみやかな症状改善を期待しうる。
【4】通常の特発性の血管性浮腫では,軽度の気道違和感を生じることはあっても窒息に至るリスクは低い。
症候の診かた
【1】皮膚・粘膜の視診を基本とし,触診にて非圧痕性を確認する。
【2】経過が一過性であるか,浮腫は皮膚深部か表在性かを確認する。眼瞼,口唇全域が腫れている場合は血管性浮腫のことが多く,通常のじん麻疹では通常1日以内に消退する(図1図)。
【3】表在性の膨疹を伴うものの場合はほとんどが非ブラジキニン起因性。
【4】落屑,乾燥などの表面変化はない。
【5】診察時には皮疹がないこともあるが,それは本症の皮疹が一過性で跡形なく消退することの証左ともなる。
検査所見とその読みかた
基本的には臨床的に疑われる病型(表1図)に基づいて実施する。
【1】特発性:必要な検査はない。
【2】刺激誘発型
❶I型アレルギーに伴うものの場合は,病歴から疑われる抗原に対する血清IgE,皮膚テスト(プリックテスト,スクラッチテスト,皮内テスト)および適宜負荷試験を行う。
❷薬剤,特に非ス