診療支援
診断

食物アレルギー
Food Allergy
今井 孝成
(昭和大学教授・小児科学講座)

診断のポイント

 即時型食物アレルギーの診断ポイントを以下に示す。

【1】乳幼児。

【2】原因食物を摂取してすみやかに症状が現れる。

【3】皮膚症状(じん麻疹など)など多彩な症状が現れる。

【4】原因食物への感作が証明(特異的IgE抗体,皮膚プリックテスト)される。

緊急対応の判断基準

【1】アナフィラキシー症状が誘発されたとき

❶特に循環器症状(血圧低下,意識障害など)や呼吸器症状(喉頭狭窄感,嗄声,喘鳴,呼吸困難など)が強くかつ急速に悪化するときは致死性の可能性があり,迅速な対応が求められる。

❷アドレナリン(0.01mg/kg,最大0.5mg)を大腿部外側上部に筋肉注射し,十分な酸素投与および急速膠質輸液を実施する。アドレナリンは必要に応じて反復投与する。

❸ヒスタミンH1受容体拮抗薬や副腎皮質ステロイド薬は致死的アナフィラキシー症状を改善する効果はない。

症候の診かた

 患者や保護者らは原因食物に関して先入観をもって受診する傾向がある。以下の点において注意深く問診をとることで診断の精緻度は高まる。

【1】何度摂取しても症状が誘発されるか:原因食物を摂取したときの症状の再現性は高い。何度摂取しても繰り返し症状が誘発されることを確認する。

【2】閾値を超えると必ず症状が誘発されるか:原因食物の症状誘発閾値を超えて食べたときの症状の再現性は高い。閾値を超えて原因摂取すると症状が必ず誘発されることを確認する。一方で閾値以下であれば摂取しても症状は誘発されない。

【3】誘発される症状が客観的か:じん麻疹,喘鳴,嘔吐,下痢,血圧低下など客観的症状であることを確認する。主観的症状(腹痛,頭痛,咽喉頭違和感など)である場合は,心因反応の可能性もある。特に学童期から成人はその傾向に注意する。

【4】摂取からどれくらい経過しているか

❶食物アレルギーの多くは即時型(原因を摂取して2時間以内の反応)である(表1)。この

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