診断のポイント
特定の生活習慣や環境要因など誘因なく,小児から高齢者まですべての年齢層の男女にみられる。わが国では厚生労働省研究班が作成した認定のための診断基準が使用される(表1図)。炎症性筋症,特徴的な皮膚症状の組み合わせで多発性筋炎(PM),古典的皮膚筋炎(classic DM:cDM),臨床的無筋症性皮膚筋炎(clinically amyopathic DM:CADM)に分類する(図1図)。
【1】対称性の近位筋優位の筋力低下。
【2】筋原性酵素の上昇。
【3】Gottron徴候などの定型・非定型疹。
【4】抗核抗体または抗細胞質抗体陽性。
【5】針筋電図での安静時自発電位,随意収縮時の低振幅・低電位。
症候の診かた
【1】全身症状:発熱,全身倦怠感,易疲労感,体重減少などがみられるが特異性は低い。
【2】筋症状:体幹,四肢近位筋群,頸筋,咽頭筋の筋力低下が対称性かつ緩徐に進行する。日常生活では階段昇降,しゃがみ立ち,重量物の持ち上げ,仰臥位での頭部挙上,嚥下が困難となる。時に筋痛を伴い,進行例では筋萎縮をきたす。
【3】皮膚症状(図2図):Gottron丘疹,Gottron徴候,ヘリオトロープ疹は疾患特異性が高く定型疹とよばれる。
❶Gottron徴候:手指関節背側,肘頭,膝蓋など関節背面の角化性紅斑であり,特に手指の指節間関節や中手指節関節背側で落屑を伴う丘疹をGottron丘疹とよぶ。
❷ヘリオトロープ疹:眼瞼周囲の浮腫性紅斑である。
❸非定型疹:爪囲紅斑,上胸部や肩にみられるV徴候やショール徴候,手指関節屈側に出現する逆Gottron徴候,脂漏部に好発する顔面紅斑,機械工の手などがある。時に打ち抜き様の皮膚潰瘍,皮下石灰化を伴う。
【4】間質性肺疾患(interstitial lung disease:ILD):乾性咳嗽,労作時呼吸困難をきたし,胸部聴診では捻髪音を聴取する。
【5】心筋
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