診療支援
診断

血管炎症候群
††
Vasculitis Syndrome
佐田 憲映
(岡山大学病院・リウマチ膠原病内科准教授)

診断のポイント

 血管炎症候群は血管のサイズによって分類され,それぞれに特徴や治療が異なるため,疾患に応じた対応が必要である〔表1(表1図1図2)〕。高安動脈炎については別項()も参照のこと。

検査所見とその読みかた

【1】MPO-ANCA:好中球の細胞質に含まれるミエロペルオキシダーゼ(MPO)に対応する抗体である。

❶ELISA法に準じた方法で測定され,顕微鏡的多発血管炎(MPA)の約90%,好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EGPA)の約50%で陽性となる。わが国では多発血管炎性肉芽腫症(GPA)でも約50%程度で陽性となるとの報告もある。

❷偽陽性となる疾患では間質性肺炎があり,間質性肺炎患者では血管炎の有無の評価が重要である。

【2】PR3-ANCA:好中球の細胞質に含まれるプロテイナーゼ3(PR3)に対応する抗体である。

❶ELISA法に準じた方法で測定され,血管炎ではGPAに特異的な自己抗体であり,わが国の疫学的な検討ではGPAの約50%で陽性となる。

❷潰瘍性大腸炎や感染性心内膜炎で陽性となる報告があり,それらの疾患の鑑別に留意する。

【3】ANCA(蛍光抗体法):蛍光抗体法で評価するANCAは,peripheral ANCA(p-ANCA)とcytoplasmic ANCA(c-ANCA)に分かれる。

❶c-ANCAの対応抗原はほぼPR3であるのに対し,p-ANCAではMPOのほかにラクトフェリンやエラスターゼ,BPI(bactericidal/permeability-increasing protein)なども含まれる。

❷このため,MPO-ANCAが陰性でもANCA関連血管炎が疑われる場合には,頻度は高くないが蛍光抗体法でのANCAの評価も有用である。

【4】造影CT・造影MRI:高安動脈炎(TAK)や巨細胞性動脈炎(GCA)などの大型血管炎を疑う不明熱で,特に局所

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