診療支援
診断

免疫不全症
††
Immunodeficiencies
野々山 恵章
(防衛医科大学校教授・小児科学)

診断のポイント

 以下に示す易感染性や,不明熱・血球貪食症候群などの免疫異常を示す症例で疑う。

【1】反復感染。

【2】重症・難治感染。

【3】持続感染。

【4】日和見感染。

【5】不明熱,血球貪食症候群。

緊急対応の判断基準

【1】重症複合免疫不全症やDiGeorge症候群などのT細胞免疫不全がある疾患

❶ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス(CMV)肺炎などが重症化する。

❷著しい低酸素血症を起こすことがあり,専門施設にすみやかに搬送する。

【2】Wiskott-Aldrich症候群の脾摘後の患者や,自然免疫異常であるIRAK4欠損症など

❶劇症型肺炎球菌感染症を起こすことがある。急激に重症化するので迅速な対応が必要である。

❷治療としては,抗菌薬の経静脈的投与,γ-グロブリン製剤投与,ショック状態に対する全身管理を行うが,救命困難であることも多い。

❸予防としては肺炎球菌ワクチン(結合型肺炎球菌ワクチンおよび2歳を過ぎれば23価ポリサッカライドワクチンを追加する)を接種し,予防的抗菌薬内服を続ける。

❹脾摘を避けることも重要である。

症候の診かた

【1】易感染性:反復感染,重症感染,難治感染,持続的感染,日和見感染(通常では病原となりえないような弱毒の病原体による感染)の5つのうち,いずれかが存在する。例えば,反復性中耳炎・肺炎,重症水痘,重症細菌感染症(髄膜炎,骨髄炎,敗血症,深部感染症など),Epstein-Barrウイルス(EBV)持続感染,難治性鵞口瘡,ニューモシスチス肺炎,播種性BCG症を起こした症例では,免疫不全症を疑う。

【2】発熱:感染に伴う発熱,血球貪食症候群に伴う発熱,自己炎症性疾患に伴う周期性発熱がある。熱型や持続期間および随伴症状に注意する。

【3】皮膚症状

 疾患に特徴的な皮膚症状を呈することがある。

❶高IgE症候群,Wiskott-Aldrich症候群:重症湿疹。

❷慢性皮膚

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