診断のポイント
【1】頻度の高い症状は頭痛,発熱,意識障害,項部硬直など。
【2】腰椎穿刺によって髄液検査を行い,細胞数,蛋白の上昇,糖(血糖との比)の低下(髄膜炎の原因によって程度が異なる)を確認。
【3】免疫不全,中枢神経病変の既往,新たなけいれんのエピソード,眼底浮腫,意識障害,巣症状などを有する患者では,腰椎穿刺の前に頭部CTを行い頭蓋内圧亢進の有無を確認。
【4】髄膜炎が疑われる場合は,細菌性,抗酸菌性,真菌性,ウイルス性,その他(自己免疫性,癌性,薬剤性など)の原因の鑑別を行う。
【5】細菌性では髄液グラム染色・培養,血液培養,抗酸菌性では髄液抗酸菌染色・培養,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR),adenosine deaminase(ADA)測定,真菌性(クリプトコックス)では髄液墨汁染色,クリプトコックス抗原,癌性では髄液細胞診などを行う。
緊急対応の判断基準
【1】バイタルサインの異常を認める場合,特にqSOFA(quick Sepsis Related Organ Failure Assessment)スコアが2点以上など,敗血症が疑われる場合。
【2】細菌性髄膜炎が疑われるが自施設で腰椎穿刺や全身管理が困難で転院を要する場合は,血液培養を行ったのちに経験的抗菌薬を投与してから転院させる。
症候の診かた
【1】臨床症状
❶発熱,頭痛,意識障害などを認める。
❷重症例ではけいれんや巣症状を認めたり,ショックをきたしたりすることもある。
❸細菌性髄膜炎のほうが無菌性髄膜炎よりも重症であることが多い。
❹身体所見:項部硬直が重要である。項部硬直の確認にはKernig徴候とBrudzinski徴候が有用である。
【2】髄膜炎の古典的3徴として発熱,項部硬直,意識障害があるが,すべてそろう症例は44~51%である。逆に3徴がすべてなければ髄膜炎の可能性は低い。
【3】頭部を1秒間に2~3回水平方向に