診療支援
診断

酸・アルカリ中毒
Acid and Alkali Poisoning
阪本 雄一郎
(佐賀大学教授・救急医学講座)

診断のポイント

【1】酸・アルカリ物質は身近な家庭用・工業製品(浴室用洗剤,カビとり剤,排水パイプ用洗剤,トイレ用洗剤・洗浄剤,漂白剤,家具用・洗濯槽用洗剤など)に含まれる。製品ごとに含まれる濃度は異なる。

【2】自殺企図,あるいは小児・高齢者の誤飲による経口摂取や皮膚・眼球への接触,まれに誤嚥による局所症状が主となる。

【3】損傷の程度は濃度,pH,接触時間や接触面積に影響される。経口摂取の場合は食道の通過に影響する性状,粘稠度や胃内に及んだあとの胃内容物の有無に影響される。

【4】皮膚や粘膜への接触の場合,アルカリのほうが,融解損傷のため深部まで損傷をきたしやすい。経口摂取の場合は,酸は胃損傷,アルカリは食道損傷を起こしやすい。

【5】酸・アルカリともに,十二指腸よりも肛門側に損傷を起こすことは少ない。

症候の診かた

 酸・アルカリを含む腐食物質の接触による化学損傷である。

【1】経口摂取の場合

❶固体

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?