診療支援
診断

パニック症
Panic Disorder
清水 栄司
(千葉大学大学院教授・認知行動生理学)

診断のポイント

【1】「パニック発作」を最初に診断する。

【2】次に「パニック症」を診断する。

【3】「広場恐怖症」の合併の有無を確認する。

緊急対応の判断基準

 救急外来では,簡単な心理教育を行い,リラクゼーション法として緩徐呼吸法(特に呼気を意識しながら3秒吐いて3秒吸うという6秒1呼吸のゆっくりとした呼吸を5分ほど持続する呼吸法)などを教える。

症候の診かた

 身体疾患を除外したのち,安静状態または不安状態から数分でピークに達する激しい恐怖感の突発性の高まりで,動悸,発汗,震え,息切れなどの4つ以上の身体反応を伴うパニック発作が起こったあと1か月で,また発作が起こることに対する「予期不安」や「回避行動」が生じ,日常生活に支障をきたしているかどうかを病歴から診断する。

検査所見とその読みかた

 パニック障害重症度評価尺度(Panic Disorder Severity Scale:PDSS):カットオフ値8点以上(Am J Psychiatry 1997[PMID: 9356566], Depress Anxiety 2009[PMID: 19006198])。

確定診断の決め手

 「DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル」に基づき診断する。

【1】パニック発作:1)動悸・心拍増加,2)発汗,3)身震い・震え,4)息切れ・息苦しさ,5)窒息感,6)胸痛・胸の不快感,7)嘔気・腹部不快感,8)めまい感・気が遠くなる感じ,9)寒気・熱感,10)異常感覚(感覚麻痺・うずき感),11)現実感消失・離人感,12)抑制力を失う恐怖・どうかなってしまう恐怖,13)死ぬことに対する恐怖のうち,4つ以上が同時に突然起こる場合に診断される。

【2】パニック症:パニック発作のあとの1か月間,1)さらなる発作またはその結果についての持続的な懸念,心配,2)行動の意味のある不適応的変化(例えば発作を避けるような行動

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?