診療支援
診断

原発性悪性骨腫瘍
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Primary Malignant Bone Tumors
山本 憲男
(金沢大学大学院特任教授・整形外科学)

診断のポイント

 骨腫瘍の診断には,年齢,発生部位,画像所見などの情報が重要であるが,最終的には,骨軟部腫瘍に精通した整形外科医,放射線科診断医,病理医などが情報を十分に共有し,総合的に診断を行う必要がある。

【1】発生頻度:2014(平成26)年度の全国骨腫瘍登録では,原発性悪性骨腫瘍のなかで最も多い骨肉腫でも年間166例であり,希少がんとされている。

【2】発症年齢:Ewing肉腫や骨肉腫は10歳台前後に好発するのに対し,軟骨肉腫は30~40歳台以降に好発する。

【3】発生部位

❶骨肉腫など原発性悪性骨腫瘍の多くは長管骨の骨幹端部に好発し,脊椎に発生することは少ない。

❷Ewing肉腫は長管骨の骨幹部や肋骨,寛骨に好発する。

❸脊索腫の多くは仙骨に発生する。

【4】画像検査:非骨化性線維腫のように,典型例であれば単純X線像で診断を下せる骨腫瘍があり,単純X線は必ず施行しておくべき検査である(図1)。

症候の診かた

【1】疼痛

❶初期には,誘因なく荷重時や運動時に疼痛が出現することが多い。

❷病変が進行して骨の破壊が進むと,徐々に持続的な安静時痛も出現するようになる。

❸比較的軽微な外傷により病的骨折が急激に生じると,突然の強い疼痛が生じることがある。

【2】腫脹:外的要因がないにもかかわらず局所の腫脹を認めることも多い。

【3】関節可動域制限:関節近傍から発生することが多く,疼痛や腫脹のため関節可動域の制限を認めることも多い。

検査所見とその読みかた

【1】血液・生化学検査:悪性骨腫瘍に対する有用な腫瘍マーカーはいまだ確立されていないが,診断,治療効果判定,予後予測などに下記検査が参考となる。

❶血清ALP値:骨肉腫で高値を示すことが多く,治療効果判定の参考として用いられる。ただし各年齢でも異なるが,小児の正常値は成人の1.5~2倍程度とされており,その評価には注意が必要である。

❷血清LDH値:Ewin

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