診断のポイント
【1】他臓器の合併症がみられない。
【2】全身性への移行,中間型もある。
【3】20歳前後の女性に多い。
【4】慢性円板状型,深在性,亜急性皮膚型に分類される。
【5】表皮真皮接合部に免疫グロブリン,補体の沈着がみられる。
症候の診かた
【1】円板状エリテマトーデス
❶皮膚エリテマトーデスのなかで最も多い型である。
❷皮疹は,顔面,頭部,耳介部に好発する。境界明瞭な紅斑局面で,鱗屑と毛孔の開大を伴う(図1図)。
❸病変が広範囲であり,頸部より尾側に拡大する場合は全身性エリテマトーデスへ移行する例が多いため注意を要する。
❹口唇が侵されることもある。口唇の鱗屑,潰瘍,色素沈着がみられる。口唇癌の発症母地となりうるので注意が必要である(図2図)。
❺頭皮に病変がみられることもあり,真皮内の炎症が強く,毛包上皮幹細胞を含む毛根が破壊され,不可逆的な脱毛斑となる(図3図)。
【2】深在性エリテマトーデス
❶顔面,頸部,上腕に好発する皮下硬結として発症し,表面が陥凹して治癒する。
❷円板状エリテマトーデスや全身性エリテマトーデスと同時にみられることが約半数で,残り半数は単独の発症である。
【3】亜急性皮膚エリテマトーデス
❶皮膚エリテマトーデスと全身性エリテマトーデスの中間型として提唱されている。
❷皮疹は,環状連圏状型と丘疹鱗屑型に分類される。皮疹出現時には発熱や関節痛など軽度の全身症状がみられることが多く,皮疹は瘢痕を残さず治癒する。
❸約半数で低抗体価であるが抗核抗体陽性であり,数十%で抗SS-A抗体が陽性となる。
❹全身性エリテマトーデスの分類基準を満たす例も存在するが,ループス腎炎,中枢神経ループスなどを合併する重症例はほとんどない。
検査所見とその読みかた
【1】皮膚生検
❶円板状エリテマトーデス・亜急性皮膚エリテマトーデス:著明な過角化,毛孔角栓形成,表皮萎縮,表皮基底層の液状変性がみられる。
❷深在