診療支援
診断

皮膚リンパ腫
††
Cutaneous Lymphoma
菅谷 誠
(国際医療福祉大学主任教授・皮膚科)

診断のポイント

【1】多くは中年~高齢者。

【2】多発する落屑性紅斑,浸潤局面,結節・腫瘤。

【3】自覚症状は軽微。

【4】ステロイド外用薬の効果が弱い。

症候の診かた

【1】T細胞系では非露光部,特に臀部から下腿に境界明瞭な落屑性紅斑を認めることが多い。

【2】毛細血管拡張,色素沈着,色素脱失をまだらに伴う多形皮膚萎縮を認めると診断的価値が高い。

【3】進行してくると出現する浸潤局面は類円形や馬蹄形を呈する(図1)。腫瘤の大きさは母指頭大から小児頭大まで多彩である。しばしば潰瘍形成を伴う。

【4】B細胞系では浸潤局面や結節,腫瘤を呈することが多い(図2)。

【5】発熱,倦怠感,体重減少などの全身症状を伴うことはまれである。

検査所見とその読みかた

【1】スクリーニング検査:病変部の皮膚生検を行う。

❶T細胞系:表皮内にリンパ球が浸潤し,Pautrier微小膿瘍を形成する(図3)。真皮に異型で大型な核をもったリンパ球が浸潤することもある。

❷B細胞系:表皮向性はなく,真皮に異型な核をもつ細胞がびまん性に浸潤する(図4)。反応性のリンパ球や好酸球,好中球,形質細胞などを認めることもある。

【2】免疫染色

❶T細胞系:CD3陽性細胞の表皮内浸潤を確認する。またCD4陽性細胞とCD8陽性細胞の偏りも重要な所見である。

❷B細胞系:CD20,CD79a陽性細胞が真皮に多数浸潤する。

【3】血液検査:異常を認めないことが多いが,進行期では乳酸脱水素酵素や可溶性インターロイキン2受容体が上昇する。

確定診断の決め手

【1】臨床像。

【2】病理検査で腫瘍細胞の浸潤。

【3】病変皮膚から抽出したDNAを用いたサザンブロット法もしくはポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法によってT細胞受容体もしくは免疫グロブリンのモノクローナルな遺伝子再構成を確認。

誤診しやすい疾患との鑑別ポイント

【1】尋常性乾癬

❶肘,膝など関節背面の皮疹。

❷雲母状

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?