診断のポイント
【1】幼少時期からの毛髪成長の異常。
【2】毛髪の脆弱性の有無(脆弱性のあるものとないものとがある)。
【3】毛髪のねじれ,縮れ,結節,太さの変化。
【4】家族歴がある。
【5】毛髪以外の症候の有無。
症候の診かた
【1】毛成長の遅延:2~3歳頃までの間に1度も髪の毛を切る必要がないなど毛成長の遅延がある場合には疑う。
【2】強度の縮毛
❶著しい縮毛がみられる場合には,同症状の家族歴がないか数世代までさかのぼって問診する。
❷両親や兄弟姉妹に同症状がない場合も多い。
【3】形態異常
❶肉眼的に毛髪の形態異常を認めた場合には,光学顕微鏡で周期的な太さの変化や捻転,結節,陥入などがないか確認する。
❷はっきりしない場合には電子顕微鏡による観察を行う。
【4】毛髪以外の症候
❶毛髪奇形を呈する疾患には,非症候性疾患と症候性疾患がある。
❷代表的な症候性の毛髪奇形疾患として,次のようなものが挙げられる。
■Netherton症候群:陥入性裂毛,アトピー性素因,魚鱗癬様皮膚がみられる。
■Trichorhinophalangeal症候群:薄毛,鼻翼低形成による西洋梨状の鼻,短指趾症,低身長などを特徴とする。
■Naxos病とCarvajal症候群:縮毛症(woolly hair)と掌蹠角化症,拡張型心筋症を3徴候とする。
検査所見とその読みかた
【1】光学顕微鏡,実体顕微鏡:患者の毛髪を採取し,顕微鏡下で観察する。できれば抜毛試験を行い,毛周期率も確認する。
❶縮毛症:肉眼的な縮毛症状に加えて,顕微鏡下での不規則な捻れや毛軸に沿った溝が頻繁に観察される場合に疑われる。
❷連珠毛(monilethrix):毛髪径が周期的に異常に細くなり,毛髪の形状が数珠状を呈している場合に考えられる。
❸捻転毛(pili torti):毛髪が規則的に捻れている場合には,さまざまな外胚葉形成不全症に伴う捻転毛を疑う。
❹陥入性裂毛
■遠位
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