診療支援
診断

緑内障
Glaucoma
谷戸 正樹
(島根大学教授・眼科学講座)

診断のポイント

【1】40歳以上の有病率5%。

【2】慢性に経過する緑内障では,視野欠損が進行するまで無症状。

【3】緑内障に特徴的な視神経の構造変化を種々の眼底検査機器で確認。

【4】視神経の構造変化に一致する機能変化を視野検査で確認。

【5】病型診断・治療方針決定に眼圧・隅角検査が必須。

緊急対応の判断基準

【1】眼圧上昇に伴う急性症状を疑う場合は,すみやかに眼科医にコンサルト。

【2】眼圧上昇による急性症状が明らかで,頭痛や悪心の改善が急がれる場合は,高張浸透圧薬の点滴投与を考慮。

症候の診かた

【1】急性の眼圧上昇(急性原発閉塞隅角症)による症候(図1)

❶霧視・虹輪視:角膜上皮浮腫により「かすみ」や「にじみ」を訴える。

❷結膜充血

患眼にのみ充血を認める。

ぶどう膜炎などの続発緑内障でも充血を認めることがある。

❸中等度散瞳:患眼にのみ中等度の散瞳と直接・間接対光反射の減弱・消失を認める。

❹眼痛・頭痛:片側の三叉神経痛・放散痛を認める。

❺悪心・嘔吐・徐脈・発汗:迷走神経反射に関連した症候を認める。

❻食欲不振・血圧上昇:意思疎通が困難な患者(高齢者や認知症)では,しばしば典型的な症状や訴えを欠き,食欲不振や血圧の変動が主たる症候となる場合がある。

【2】視野欠損

❶通常鼻側周辺に出現し,徐々に拡大する。

❷中心視野は後期まで保たれることが多いが,近視眼では固視点近傍の視野欠損が先行しやすい。

❸慢性に経過する緑内障では,視力低下をきたすまで視野欠損に気がつかないことも多い。

❹見えかたの確認は必ず片眼遮閉下に行う。

【3】視力低下

❶慢性に経過する緑内障では,通常,視野欠損が進行したあとに視力低下をきたす。

❷緑内障の進行度には左右差がある場合が多く,特に高齢者では,片眼の視力低下に気がつかず,もう片眼の視力低下をきたしてから視力低下を自覚することもある。

検査所見とその読みかた

【1】眼圧検査

❶Goldma

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