診断のポイント
【1】発熱・咽頭痛・嚥下痛を主訴とする。
【2】口蓋扁桃陰窩に膿栓や白苔の付着をみる。
【3】重症多発頸部リンパ節腫脹を伴う際は,血液検査を施行する。肝機能障害が存在すればEpstein-Barr(EB)ウイルス感染による伝染性単核球症を疑う。
【4】咽頭痛のみでなく開口障害・構音障害・呼吸苦を訴える場合は扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎を疑う。
【5】「急性咽頭・扁桃炎診療ガイドライン(案)」(化学療法の領域 22:418-421,2006)を参考にする。
緊急対応の判断基準
【1】急性扁桃炎のみであれば,ICU,CCUなどへの移送や緊急手術を要することはない。
【2】咽頭痛のみでなく開口障害・構音障害・呼吸苦を訴える場合は,扁桃周囲膿瘍や急性喉頭蓋炎への進展を疑い,耳鼻咽喉科専門医の常勤している施設へ転送すべきである。
【3】まれではあるが,EBウイルスやサイトメガロウイルスによる伝染性単核球症から血球貪食症候群をきたし,全身状態が悪化しICU入室が必要となる場合がある。
症候の診かた
【1】発熱・咽頭痛・嚥下痛を主訴とする。
【2】口蓋扁桃陰窩に膿栓や白苔の付着をみる。
【3】伝染性単核球症では,多発頸部リンパ節腫脹や血液検査において肝機能障害が存在し,異型リンパ球が出現することが多い。
検査所見とその読みかた
【1】細菌検査:扁桃陰窩より行う。さらに,可能であればA群β溶連菌迅速検査やアデノウイルス迅速検査を行う。迅速検査は10~15分程度で結果が判明するため,簡便性,有用性は高い。
【2】血液検査で,左方移動を伴った白血球の上昇とCRPの上昇を認めれば,細菌感染を推測できる。
確定診断の決め手
発熱・咽頭痛が存在し,鼻汁や咳嗽などの感冒症状に乏しく,扁桃の発赤・腫脹・膿栓・白苔などを確認すれば診断は比較的容易である。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】EBウイルス初感染による伝染性単核