診断のポイント
【1】気道異物の診断:気道異物は1~3歳までの幼児で,ピーナッツなどの豆類が圧倒的に多く,その他,おもちゃの部品,果物の種などである。
❶X線透過性のものではX線検査では異物が描出されないので,注意を要する。患側横隔膜の運動制限,患側の肺気腫様陰影なども参考となる。
❷CT,MRI検査は,異物の診断と同時に,異物と気管周囲の肉芽の増殖,異物と気管との間隙などが把握できる点で有用である。
❸聴診・視診・触診でも,異物の有無を判断しうる場合がある。
【2】食道異物の診断(図1図):高齢化に伴い義歯,薬剤包装用のPTP(press-through-pack)異物が増加している。小児ではコインやおもちゃなど光るものが多い。
❶X線透過性異物の場合は頸部軟線撮影,食道造影検査,CTなどを行う。
❷食道異物は第1狭窄部に介在することが多く,頸部軟線撮影は側面像が有用である。
❸造影検査は,近年ではあまり推奨されない。最近は2倍に希釈したバリウムやイオヘキソールを使用する。
緊急対応の判断基準
【1】子どもが異物になりそうなものを咥えていたり,口に運ぶ現場に遭遇したりしたとき:決してあわてて子どもを叱らず,口腔内に異物を認めたら,ゆっくりと指で搔き出すのがよい(図2図)。しかし,口内に異物を認めないときには注意が必要で,指を突っ込むことによりかえって異物を押し込む危険性を念頭におく必要がある。
【2】乳幼児で異物による窒息が予想される場合
❶まずは自発呼吸の有無を確認する。
❷自発呼吸があるときは,片手で胸部と下顎をしっかりと支え,頭が体より下になるように保持して,背部を数回叩打する。
❸次に患児を仰臥位にし,指2本で胸部圧迫を数回行う。
❹次に異物が排出されたか,片手で口を開け異物を探す。
【3】意識も自発呼吸もない乳児に対して
❶まず仰臥位とし,下顎を挙上して気道の確保を行う。
❷人工呼吸を2回施行後,