交通事故や労働災害などによる外的損傷と,外科手術・処置や尿道カテーテル挿入時に発生する医原性損傷に分類される(医原性損傷については[さらに知っておくと役立つこと]参照)。以下,より重要な外的損傷について主に述べる。
診断のポイント
【1】腎外傷
❶受傷機転,身体所見,血尿の有無などから存在を疑い,他臓器の合併損傷が多いことに注意。
❷造影マルチスライスCT(以下CT)による画像診断が最も重要で,CT所見を日本外傷学会の腎損傷分類(以下JAST分類,図1図)に当てはめて重症度を評価することが,診断および治療方針の決定に有用である。
【2】膀胱外傷
❶受傷機転と身体所見,血尿の有無,尿が出ないなどの症候に注意。
❷挫傷と破裂に分類され後者が重要。膀胱破裂は,破裂形式により腹膜外破裂,腹膜内破裂,腹膜内外破裂に分類される。
■腹膜外破裂が最も多く,ほとんど骨盤骨折に伴い発生する。
■腹膜内破裂は鈍的外力によって