診療支援
診断

垂直感染
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Vertical Transmission (Mother-to-Child)
早川 智
(日本大学主任教授・病態病理学系微生物学分野)

 垂直感染は母体の感染症が子宮内あるいは出産時に児に移行することで成立するが,経胎盤感染,産道感染そして母乳感染の3つの経路がある。母体の感染を確実に診断し適切な管理をすることで,児への感染を未然に防ぐことができる。母子感染をきたす主要疾患の頭文字をとってTORCH症候群と総称される。

診断のポイント

【1】子宮内感染では流早産のみならず胎児発育不全,小頭症,脳内石灰化,結膜網膜炎,聴覚障害,皮疹,肝脾腫,血小板減少など重篤な症状や後遺症をもたらすことがある。

【2】母体には無症候性の感染症が多いので,妊婦検診時にあらかじめスクリーニング検査をする。

【3】妊娠中の初感染と再感染,持続感染でリスクが異なる。

【4】必要に応じて抗体価のみならず,病原体遺伝子検査や培養を行う。

【5】患者に対する症候や既往歴,食生活,性生活,旅行などの問診が重要である。風疹や伝染性紅斑などの流行時には必ず鑑別診断に入れる

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