診断のポイント
【1】分娩状況と家族歴を含めた母体情報の聴取。
【2】出血は,紫斑・点状出血,帽状腱膜下出血,臍出血,採血部位の止血困難,吐血・下血,頭蓋内出血,内臓出血など。
【3】血小板数と形態,血液凝固・線溶因子の測定。
【4】基礎疾患(表1図)がある。
【5】播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)の合併。
緊急対応の判断基準
【1】ビタミンK(VK)欠乏症と考えられる頭蓋内出血や消化管出血を認めたとき
❶検査結果を待たずに直ちにVK2製剤0.5~1mgを静脈内投与する。
❷血管確保が困難な場合は,VK製剤を皮下注射する。
【2】先天性プロテインC欠乏症による電撃性紫斑病:直ちに抗凝固療法,抗線溶療法とFFPを投与する。
症候の診かた
【1】発症時期や出血部位,その他の随伴症状(黄疸,臓器障害)を参考にする。
【2】紫斑・点状出血斑:血小板減少や異常症,分娩損傷で認める。
【3】臍出血:血友病,無フィブリノゲン血症,第ⅩⅢ因子欠乏症,α2-プラスミンインヒビター欠損症でみられる。
【4】吐血・下血:VK欠乏症,消化管出血を疑う。
【5】頭蓋内出血:VK欠乏症,血小板減少症,血友病などに合併する。無呼吸発作,けいれん,嘔吐などで発症する。
【6】内臓出血:肝被膜下出血や副腎出血があり,血友病や分娩損傷でみられる。
検査所見とその読みかた
スクリーニングのための検査を以下に示す。
【1】末梢血液検査:血小板減少は,母体の抗血小板抗体や血小板減少の有無から,免疫性血小板減少症と非免疫性血小板減少を鑑別する。
【2】血液凝固・線溶検査
❶プロトロンビン時間(国際標準比:PT-INR),活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT),フィブリノゲン量,アンチトロンビン活性,FDP/Dダイマー,PIVKA-Ⅱを調べる。
❷VK欠乏症ではPIVKA-Ⅱの上