診断のポイント
【1】小児に多い。
【2】細菌性とウイルス性に大別。
【3】疾患をまず疑うことが重要。
【4】小児の細菌性髄膜炎は,インフルエンザ菌b型(Hib)・肺炎球菌ワクチンの導入後,大幅に減少。
【5】細菌性髄膜炎には,迅速な治療が必要。
緊急対応の判断基準
【1】全身状態不良,けいれん重積を伴う場合は,呼吸管理を中心とした小児の集中管理ができる施設に転送する。
【2】細菌性髄膜炎を疑う場合は,抗菌薬を可能な限り早く投与する。その際,投与前の髄液検査は必ずしも必須ではない。
症候の診かた
【1】発熱:最も頻度が高く,ほぼ全例で認められる。ただし,新生児では,体温調節の未熟さから,低体温を呈することもある。
【2】項部硬直:髄膜刺激症状として最も有名であるが,新生児,乳児ではみられないこともある。
【3】けいれん:けいれんがある場合,けいれんの型(全身型か局所型か),持続時間,反復の有無,意識消失の有無,けいれん後の麻痺の有無などをよく観察する。
【4】出血斑:下肢を中心とした紫斑,点状出血は,重症細菌感染症に合併することが多いが,特に髄膜炎菌による感染症でみられることが多い。
【5】発疹:ウイルス性の髄膜炎に伴うことがある。特にエンテロウイルス,パレコウイルス感染症でみられることが多い。
【6】大泉門膨隆:新生児・乳児では,髄膜炎による脳圧亢進の徴候としてみられることがある。
検査所見とその読みかた
【1】髄液所見
❶細胞数と分画
■髄膜炎では,細胞数の増加をみる。
■分画では,細菌性で好中球優位,ウイルス性でリンパ球優位となる。ウイルス性では,最初の48時間以内は,好中球優位となることもある。
❷糖:細菌性で低下,ウイルス性では正常。
❸蛋白
■細菌性で上昇,ウイルス性で正常か上昇。
■単純ヘルペスウイルス感染症では,蛋白の上昇をみることが多い。
❹血液検査
■細菌性髄膜炎で白血球数の増加と左方移動,CRPなどの炎