診療支援
診断

小児の脳血管障害
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Cerebrovascular Disorders in Infants and Children
浜野 晋一郎
(埼玉県立小児医療センター・神経科部長)

診断のポイント

【1】年長児は成人と同様に,片麻痺,意識障害での発症が多いが,新生児,乳児ではけいれん,無呼吸,哺乳力低下などの非特異的症状の発症がまれでない。

【2】疑ったら画像検査を実施し,梗塞はもやもや病,出血なら動静脈奇形をまず鑑別。

【3】反復する一過性神経学的巣症状ではもやもや病を念頭に。

【4】小児の脳血管障害はまれだが,その原因は多彩([さらに知っておくと役立つこと]参照)。原因に応じて合併症,予後もさまざまなため幅広い原因検索が不可欠。

緊急対応の判断基準

【1】診断は頭部画像検査(CT,MRI)に依存するため,脳血管障害を疑った時点で撮影可能な施設への転送が必要である。

【2】乳幼児では鎮静を要するため,小児の鎮静に精通している施設への転送が望ましい。

症候の診かた

【1】指示に従えない乳幼児の場合,自発運動,疼痛刺激や姿勢変換に対する反応から神経学的症状を判断する。

【2】啼泣時には,啼泣による顔貌と四肢の動きなどを左右差の評価を中心に診る。

【3】医師と対面にならず,母親と患児が向き合う形で抱っこさせるなど,啼泣を軽減する工夫をし,深部腱反射,病的反射,大泉門,対光反射などを確認する。

【4】母斑症も脳梗塞の原因となるので,カフェオレ斑,顔面血管腫などの所見にも留意する。

検査所見とその読みかた

【1】CT:出血性病変の描出に有用で,MRIより鎮静が不十分でも短時間で撮影できるという優位性をもつ。しかし,超急性期の虚血性病変検出が困難なときがあるため,early CT sign(皮髄境界不鮮明化など)に留意する。

【2】MRI:CTより深い鎮静を要するが診断にきわめて有用である。

❶脳梗塞では拡散強調画像で高信号,ADC mapで低信号を呈し急性期診断が容易で,MRAでは造影剤なしで閉塞血管の描出が可能である。

❷脳内出血の描出はT2強調画像,くも膜下出血はFLAIRが適している。

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