診断のポイント
【1】体位性蛋白尿を除外する。
【2】検尿異常,腎不全,難聴などの家族歴を聴取。
【3】新生児期を含む既往歴と治療歴,発育歴を確認。
緊急対応の判断基準
【1】無尿または0.5mL/kg/時未満の乏尿。
【2】血清クレアチニン(Cr)が,2日以内に基準値の25%以上,7日以内に定常状態の50%以上上昇。
【3】高カリウム(K)血症(特に7.5mEq/mL以上)。
【4】内科的治療抵抗性の高血圧や溢水。
【5】意識障害など進行する尿毒症症状。
症候の診かた
【1】低身長は慢性腎機能障害の存在を示唆する。体重増加は水分貯留を示し,高血圧の原因にもなる。
【2】膿痂疹は感染後急性糸球体腎炎,紫斑や出血斑は紫斑病性腎炎(Henoch-Schönlein purpura nephritis:HSPN)や溶血性尿毒症症候群(hemolytic uremic syndrome:HUS),蝶形紅斑はループス腎炎などの可能性がある。
【3】視力障害や羞明は,ぶどう膜炎を伴う間質性腎炎症候群の可能性,聴力障害は,Alport症候群などの可能性がある。
【4】関節症状は,HSPNやループス腎炎の可能性,腹痛や消化器症状は,HSPNやHUSの可能性がある。
【5】感染症後の肉眼的血尿は,IgA腎症やAlport症候群の可能性がある。
検査所見とその読みかた
【1】尿検査
❶採尿上の注意点
■体位性蛋白尿の否定のため,就寝前に完全排尿し早朝第一尿で尿検査を行う。
■月経終了後,小・中学生は約10~14日後,高校生は約1~3週間後に検尿を行う。
❷尿蛋白
■大多数は糸球体性蛋白だが,尿細管性蛋白尿(低分子蛋白尿ではDent病やLowe症候群など)もある。
■試験紙法は,濃縮尿は偽陽性のことがあり,尿蛋白・尿クレアチニン(Cr)比(U-P/Cr)が正確である。
■試験紙法で(+)以上〔3歳児検尿は(±)以上〕,U-P/Cr>0.15(