診断のポイント
【1】身長SDスコアが-2 SD以下,あるいは3パーセンタイル以下である場合を低身長と定義する。
【2】成長速度が標準値の-1.5 SD以下である場合を成長率低下と定義する。
【3】低身長と成長率低下を併せて身長の成長障害とよぶ(図1図)。
緊急対応の判断基準
(緊急)対応が必要なのは,基礎疾患が脳腫瘍などで下垂体機能障害を起こしている場合や,甲状腺機能低下症などの場合で,多くの場合成長率低下として現れる。成長率低下がみられる場合は,専門医/施設に紹介する(図1図のDパターン)。
症候の診かた
【1】初診時の診察で,プロポーションが正常であるか,二次性徴の有無,外反肘や翼状頸〔Turner症候群(TS)〕,特異的な顔貌〔Noonan症候群(NS),〔Prader-Willi症候群(PWS)など〕があるかを診る。
【2】以下のような情報を集める。
❶出生時の身長・体重・頭囲。
❷周産期情報:骨盤位・仮死,黄疸〔成長ホルモン分泌不全性低身長症(growth hormone deficiency:GHD),甲状腺機能低下のサイン〕,手背足背のむくみ(TS)。
❸その後の身長・体重・頭囲の測定と成長曲線の作成。
❹両親の身長〔MPF=(F+M)/2〕,両親の思春期発来の時期(体質性思春期遅発症の可能性)。
❺筋緊張の低下(PWS)。
❻栄養摂取量,嘔吐や下痢による栄養素の喪失,栄養摂取状況。
❼親子関係。
❽生活リズム:睡眠時刻,運動状況など。
検査所見とその読みかた
【1】初診時検査は甲状腺機能,インスリン様成長因子(IGF-I),黄体形成ホルモン(LH),卵胞刺激ホルモン(FSH),検尿,血算,血液生化学,栄養評価としてアルブミンやプレアルブミン,亜鉛の測定,左手手根骨X線写真などを行う。
【2】基礎疾患の疑いに対して染色体検査を行う。
確定診断の決め手
【1】2種類以上の成長ホルモン(GH)負荷テス