診断のポイント
【1】新生児マススクリーニング〔通常甲状腺刺激ホルモン(TSH)のみを測定〕で発見されるが,すべてではない。
【2】先天性甲状腺機能低下症チェックリスト。
【3】迅速な甲状腺機能検査。
【4】甲状腺超音波と大腿骨遠位端X線。
【5】母親の既往歴・ヨード摂取歴。
緊急対応の判断基準
【1】新生児マススクリーニング要精査の連絡が入ったら,特に初回の採血で要精査になった場合には,すみやかに精査・加療が行われるように手配する。地区によっては精査する医療機関があらかじめ決められているところもある。週末や連休のために治療開始が遅れないようにする。
【2】自治体によって新生児マススクリーニングの精密検査を行う施設が指定されている。
症候の診かた
【1】問診のポイント
❶母親の甲状腺疾患の既往,抗甲状腺薬内服。
❷母親の昆布,メカブ,ヒジキなど海藻類の多食歴。
❸母親のヨード系うがい薬,造影剤の使用歴。
【2】先天性甲状腺機能低下症チェックリスト:12項目を表1図に示した。各項目1点として合計点を求める。
❶遷延性黄疸の児には1度は甲状腺検査を行いたい。
❷便秘は哺乳量低下と腸管の動きが悪くなることの両方による。重症であれば便は白っぽくなる。
❸不活発で鳴き声が弱くなり哺乳力が低下する。そのため体重増加不良となる。
❹皮膚乾燥,不活発,浮腫は治療して初めて気づかれることもある。
❺小泉門開大は5mm以上を有意ととる。
❻甲状腺腫を認めないタイプもある。
検査所見とその読みかた(表2図)
【1】初診時に行うべき検査
❶甲状腺検査〔TSH,遊離T4(FT4),遊離T3(FT3)〕
■生後6か月未満でTSH≧10mIU/L,生後12か月でTSH≧5mIU/Lは異常。
■FT4<0.4ng/dLは最重症,FT4 0.4~0.7ng/dL未満は重症,FT4 0.7~1.5ng/dL未満は中等症。
❷甲状腺超音波検査:甲状腺腫や形態異常
関連リンク
- 今日の治療指針2023年版/先天性甲状腺機能低下症
- 臨床検査データブック 2023-2024/甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン負荷試験〔TRH負荷試験〕 [保] 1,200点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/成長ホルモン〔GH〕 GHRH負荷試験(成長ホルモン放出ホルモン負荷試験) [保] 1,200点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイロキシン〔T4〕《チロキシン》 [小][保] 108点
- 臨床検査データブック 2023-2024/遊離トリヨードサイロニン〔FT3〕《遊離トリヨードチロニン,遊離T3,フリーT3》 [小][保] 124点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/プロゲステロン〔P4〕 [保] 151点(包)
- 臨床検査データブック 2023-2024/サイロキシン結合グロブリン〔TBG〕《チロキシン結合グロブリン》 [保] 130点(包)
- 今日の診断指針 第8版/多嚢胞性卵巣症候群
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- 今日の診断指針 第8版/加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)