診断のポイント
【1】反復する典型的な喘息症状。
【2】アレルギー疾患の既往歴・家族歴。
【3】運動や冷気,煙の刺激で咳嗽・喘鳴出現。
【4】β2刺激薬吸入による症状改善。
緊急対応の判断基準
【1】大発作・呼吸不全では,血液ガス分析および胸部X線による合併症(皮下気腫,縦隔気腫,気胸,無気肺,肺炎など)の検索を行う。
【2】呼吸不全状態(傾眠~昏睡,十分な酸素投与下でPaO2<60mmHg,PaCO2≧65mmHgなど)ではICU管理が望ましいため高次医療機関に搬送する。
【3】意識障害を認める場合は人工呼吸管理を検討する。
症候の診かた
【1】喘鳴:高音性喘鳴(wheezes)が特徴的。大発作・呼吸不全では減少または消失する。
【2】呼吸困難:乳幼児や重症心身障がい児においては,不快感あるいは苦痛を推測させる他覚所見を含める。呼気性が主体であるが,症状が進むと吸気性呼吸困難も認める。起坐呼吸,話しかたなどの生活状態や意識障害の評価も行う。
【3】咳嗽:喘鳴や呼吸困難を伴わない慢性咳嗽で,気管支拡張薬が有効なときは咳喘息を疑う。
検査所見とその読みかた
【1】血液検査:末梢血好酸球数の増加(>300/μL),血清総IgE値の上昇,特異的IgE抗体(ダニ,ペット,真菌など)陽性。
【2】スパイロメータによる気流制限(%FEV1.0<80%,$\rm{\dot{V}}$50や$\rm{\dot{V}}$25低下),気管支拡張薬による可逆性試験陽性(FEV1.0改善>12%)(図1図)。
【3】運動負荷試験陽性(max %fall in FEV1.0>15%)。
【4】呼気中一酸化窒素(FeNO)高値(>35ppb)。
確定診断の決め手
【1】反復する発作性の喘鳴や呼吸困難。
【2】気道過敏性亢進の症候。
【3】呼吸機能検査による可逆的な気流制限。
【4】喘息以外の疾患の除外。
誤診しやすい疾患との鑑別ポイント
【1】先天異