診断のポイント
【1】立ちくらみ,またはめまい。
【2】立っていると気分不良となる,あるいは倒れる。
【3】頭痛,動悸,顔色不良,食欲不振,全身倦怠感。
【4】朝は起きられず,夜は寝付けない。
【5】学校への遅刻や欠席が目立つ。
症候の診かた
【1】立ちくらみ・めまい:椅子から立ち上がるとき,階段を上るときにしばしば認める。
【2】気分不良:午前中に悪心,頭痛,胃部不快感などの気分不良を訴える。
【3】動悸:長時間の起立時,軽い運動時に動悸を認める。
【4】朝起きられない:起こされていることを覚えていないほど,強い眠気を示すときもある。
【5】学校への遅刻/欠席:朝起きられないため,遅刻/欠席が目立つ。何らかの心理社会的因子で学校に適応できていない場合に症候が顕著に出現することがある。
検査所見とその読みかた
【1】表1図に示す起立性調節障害(OD)の身体症状項目が3つ以上当てはまるか,あるいは2つであってもODを強く疑う場合には鑑別診断と新起立試験を実施する。
【2】失神の既往や疑いがある場合には,脳波検査やホルター心電図を実施し,てんかんや不整脈の鑑別を行う。
【3】日中の強い眠気があるときは,ナルコレプシー類縁疾患など睡眠障害の鑑別を行う。
【4】新起立試験(図1図)を実施し,ODの診断,ODのサブタイプ診断を実施する。血圧回復時間,起立後1,3,5,7,8,10分における収縮期/拡張期血圧,脈拍を測定する。
【5】ODサブタイプ(図2図)
❶健常者の起立時血圧(BP)と心拍(HR)の反応(図2a図):人は起立すると(図2図→)一過性の血圧低下が生じるが,直ちに回復しその後は臥位よりやや高い血圧で安定する。
❷起立直後性低血圧(図2b図):起立直後に強い血圧低下および血圧回復の遅延が認められる。非侵襲的連続血圧測定装置で求めた平均血圧の起立後回復時間≧25秒,または≧20秒かつ平均血圧低下≧60%。
■軽症