【定義】
DSM-5では,妄想は次のように説明される(a)-c)の番号は筆者による).
a)「妄想とは外部の現実に関する不正確な推論に基づく誤った信念beliefであり,他のほとんどの人が信じていることに反しているにもかかわらず,また議論の余地のない明白な証拠や反証にもかかわらず,強固に維持される.その信念は,その人の文化や下位文化の他の成員が通常受け入れているものではない(すなわち,宗教的信条ではない)」
b)「誤った信念が価値判断を含む場合,その判断が信用できないほど極端な場合にのみ妄想とみなされる」
c)「妄想的確信はときに優格観念から推論されうる(後者の場合,不合理な信念や観念を有しているが,妄想の場合ほど強固に信じていない)」
a)は妄想の定義であり,Jaspersによる妄想の外的メルクマール(指標)である,①著しい主観的確実性と尋常でない確信度,②経験にも説得力のある反論にも影響され