【定義】
抑うつ気分は,一般的に「気分が落ち込んでいる」と表現されるような「憂うつな気分」を表す.身体疾患や心理的要因などにより二次性に生じる場合があるが,大うつ病性障害における抑うつ気分は,うつ病の中核症状の1つであり,治療の対象となる一方で,二次性に生じた抑うつ気分は身体状況の改善や心理的要因の解消に伴って自然に軽快する場合が多い.
【分類】
A.双極性障害および関連障害群と抑うつ障害群における抑うつ気分
現在,精神科臨床で広く用いられているDSMは米国精神医学会が作成した国際的診断基準であり,主に症状と持続期間に基づいて操作的診断を行うことで,医師間で診断を統一させることを目的としている.新たに改訂されたDSM-5では,気分障害というカテゴリーがなくなり,双極性障害および関連障害群と抑うつ障害群に分類された.前者には双極性障害,気分循環性障害,後者にはうつ病,持続性抑うつ障害,重篤気分調