診療支援
治療

水中毒への対応
management of water intoxication
永嶌朋久
(聖マリアンナ医科大学特任講師・神経精神科学)
岸本年史
(奈良県立医科大学教授・精神医学)

◆疾患概念

【定義・病型】

 過剰飲水により希釈性の低ナトリウム血症をきたし,それに随伴して生じるめまい,悪心,頭痛,倦怠感,運動失調,さらにけいれん発作や意識障害にまでわたる多彩な中枢神経症状を示した状態を水中毒とよぶ.

【病態・病因】

 過剰飲水による水分の体内貯留が水中毒の本態である.病因としては,いまだ明確にされていないのが現状ではあるが,抗精神病薬などにより慢性的にドパミンD2受容体が遮断されると,口渇誘発物質であるアンジオテンシンⅡへの感受性が亢進することで口渇を引き起こし,さらにアンジオテンシンⅡが抗利尿ホルモンの分泌を促進することで水分の体内貯留を引き起こすと考えられている.これによる持続的な抗利尿作用が水中毒の発生機序の1つと考えられている.

【疫学】

 慢性の入院患者を対象とした疫学調査では,多飲水を呈する者は少なくとも20%存在し,5%には水中毒の既往を認めたと報告されている.ま

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