【定義・病型】
双極性障害および抑うつ障害は,優勢な症状として気分の障害をもつ疾患である.DSM-5では,従来は気分障害として同一カテゴリー下に分類されていたこれらの障害を,症候論,家族歴,および遺伝学的観点から,「双極性障害および関連障害群」と「抑うつ障害群」とに分けている.双極性障害および抑うつ障害の診断は,これまでに経験した気分エピソードの種類によって行われる.気分エピソードは,①抑うつ気分,および興味または喜びの喪失を中核症状とする「抑うつエピソード」,②気分が異常かつ持続的に高揚し,開放的で,または易怒的となり,加えて,異常にかつ持続的に亢進した目標指向性の活動または活力が認められる「躁病エピソード」,さらに③躁病エピソードよりも持続期間やその程度においてより軽症である「軽躁病エピソード」,の3種類からなる.そして,躁病,軽躁病エピソードの既往歴をもたない場合を抑うつ障害と診断し