◆疾患概念
【定義】
強迫症(OCD)は,繰り返し生じる思考(強迫観念)とそれを打ち消すための繰り返しの行動(強迫行為)を主たる症状とする疾患である.強迫観念や強迫行為は通常不安や苦痛を伴い,長時間を費やすことにより日常生活に強い悪影響を生じる.DSM-Ⅲ以来,OCDは不安障害のカテゴリーに収載されていたが,2013年に刊行されたDSM-5では,新設された「強迫症および関連症群」へと移行した.ここでは,醜形恐怖症,抜毛症,新設のためこみ症などと同一カテゴリー化がなされている.
OCDの症状は基本的には,健常な思考や日常的な動作の延長上に出現する.それは例えば汚染や感染の不安からくる洗浄行為であり,加害や過失のおそれからくる確認行為である.OCDの症状は多彩であり,このほかに物の位置の対称性や文章の正確性へのこだわり,幸運,不運な数へのこだわり,無意味な行動の反復,価値観の喪失に伴うためこみ,
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