診療支援
治療

急性一過性精神病性障害
acute transient psychotic disorder (ATPD)
阿部隆明
(自治医科大学教授・とちぎ子ども医療センター子どもの心の診療科)

◆疾患概念

【定義・病型】

 急性一過性精神病性障害(ATPD)は,急性に発症し,多形性ないし統合失調症様の病像を形成し,短期間で完全寛解する精神病性障害とまとめられる概念である.情動の変化や個々の感情症状が顕著になることはあっても,躁病あるいはうつ病エピソードの診断基準を満たさないし,脳振盪やせん妄あるいは認知症状態のような器質性の原因も存在しないことが前提である.同様に,薬物あるいはアルコールによる明らかな中毒症状が存在する場合も,ここには含まれない.

【病態・病因】

 原因は不明であるが,心理・社会的ストレスに引き続いて発症することもある.統合失調症や感情障害には分類できない急性の非器質性非症状性精神病エピソードという除外的規定のため,内容的にはさまざまな病態が混入している.大きく分けて,統合失調症や感情障害の経過の一部と見なせるもの,同様の病像を繰り返すものがある.

【疫学】

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