◆疾患概念
【定義・病型】
現在不安症/不安障害の診断・分類にICD-10とDSM-5がよく用いられる.これらの診断基準に年齢による違いはなく,高齢者にも用いられている.
また高齢になると知的・身体的機能の低下,身体疾患や配偶者との別れなどの喪失体験が多くなる.さらに死を意識する機会も増え,不安に悩まされ,将来について心配せざるを得なくなり,診断基準を満たさない不安症状が出現することが多い.
【病因・病態】
喪失体験(表1)図は不安・心配を引き起こす.その不安・心配は“正常”なものと見なされやすいが,治療が必要な場合が多い.
不安の中心症状には,心配と警戒心といった認知面の症状および運動性緊張(筋緊張),発汗・頻尿・下痢・便秘などの自律神経症状,睡眠・食欲の障害などの身体面の症状がある.高齢者では心配は少なく,身体症状が優位なことが多い.高齢者では状況の変化や自身の安全が脅かされることへの心配
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