わが国の循環器疾患患者は,高齢化社会の訪れ,食習慣をはじめとする生活様式の変化,社会的ストレスの増大とともに急増しており,それに伴い降圧薬を含めた循環器用薬の処方も増加している.循環器用薬のなかには,中枢神経系へ作用し,せん妄や抑うつ症状などの精神症状を引き起こす可能性がある薬剤もあり,その使用にあたっては十分な注意が必要である.特に高齢者においては,しばしば臨床上の問題点を伴っている.本稿では,循環器用薬でも使用頻度の高い降圧薬と抗不整脈薬を中心にして解説する.
降圧薬
A.β遮断薬
現在,β遮断薬は高血圧から虚血性心疾患,頻脈性不整脈,心不全まで幅広く臨床使用されている.β遮断薬の薬効は,主にβ1およびβ2受容体の遮断によるが,β1受容体は心臓に多く分布し,心拍数増加,心収縮力増強,房室伝導亢進,不応期短縮などが起こる.また,β2受容体は血管平滑筋や気管支筋に多く分布し,その刺激により血
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