◆疾患概念
【定義・分類】
睡眠時随伴症とは,睡眠中あるいは覚醒と睡眠との境界の状態で起こる異常な現象を指す言葉である.患者の訴えはその異常な現象に限られており,その異常な現象が原因となって不眠や過眠などの障害が生じることは少ない.睡眠障害国際分類第3版(ICSD-3)では,睡眠時随伴症をさらに,覚醒障害(ノンレム睡眠からの覚醒時に起こるもの),通常レム睡眠に伴って起こる睡眠時随伴症,その他の睡眠時随伴症の3つに分類している.本項では,ICSD-2の診断分類に従い,主な睡眠時随伴症の疾患特徴について述べる.なおICSD-3においても睡眠時随伴症の分類はおおむね変わっていない.
覚醒障害(ノンレム睡眠からの覚醒時に起こるもの)
ICSD-2では錯乱性覚醒,睡眠時遊行症,睡眠時驚愕症の3疾患に分類されている.これらはいわゆる“ねぼけ”に相当するものであり,それらの病態生理学的機序には覚醒障害が共通