◆疾患概念
【定義・病型】
てんかん患者にはあらゆる精神症状が出現しうるが,その頻度は一般人口より高いことが知られている.このことはてんかんと精神障害が偶然に合併しているのではなく,それらに共通した病因や病態が関与していること,あるいはてんかんと精神障害がお互いの促進因子として寄与している可能性を疑わせる.発作間欠期の精神症状には,周発作期(発作前,発作時,発作後)にみられるような精神症状とてんかん発作との直接の関連はないが,てんかん性の発作活動が関与すると考えられる病態やてんかん発作が抑制された場合に出現する強制正常化(交代性精神病)のような病態も含まれる.発作間欠期精神症状は,その病因・病態にかかわらずてんかん患者で発作間欠期にみられる精神症状すべてが該当する.
臨床上重要なものとして,小児では自閉症スペクトラム障害,注意欠如・多動性障害,学習障害,抑うつ障害,不安障害,成人では抑うつ障害,不安障害,精神病性障害,解離性・転換性障害(心因性非てんかん性発作を含む),認知障害,自閉症スペクトラム障害がある.てんかんに特有な精神障害として,抑うつ,不安,焦燥,無気力,疼痛,不眠,恐怖,多幸など多彩な精神症状を呈し,時に幻覚や妄動なども出現する発作間欠期不快気分症interictal dysphoric disorder(IDD)が知られている.
【病因・病態】
発作間欠期の精神障害の病因として,てんかん病態に関する要因,脳器質病変に関する要因,精神障害の遺伝的素因,てんかん治療による医原的要因,心理社会的要因などが推定されている.これらの要因が複合的に寄与することで精神症状が出現するものと考えられる.
側頭葉てんかんでみられる精神病や不快気分症,パーソナリティ・行動特性(Geschwind症候群)では,大脳辺縁系のてんかん性発作活動や周辺組織の脳内抑制機構が関与して精神症状が出
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