心身症呼吸器疾患として,気管支喘息bronchial asthma,過換気症候群hyperventilation syndrome,神経性咳嗽,喉頭けいれん,慢性閉塞性肺疾患などが挙げられる.ここでは,代表的な心身症呼吸器疾患である気管支喘息と過換気症候群について述べる.
気管支喘息
◆疾患概念
【定義・病型】
成人喘息は気道の慢性炎症,可逆性のある種々の程度の気道狭窄と気道過敏性の亢進,また臨床的には繰り返し起こる咳,喘鳴,呼吸困難で特徴づけられる閉塞性呼吸器疾患で,慢性気道炎症性疾患と認識されている.病型としては,アトピー型と非アトピー型がある.
【病態・病因】
喘息症状は,気道平滑筋れん縮,炎症に伴う粘膜浮腫や分泌物貯留,気道リモデリングなどにより生ずる.気道炎症は,気道平滑筋の収縮,気道の浮腫,気道分泌亢進,気道壁のリモデリングにより,気流制限を起こす.小児喘息の病態は,成人喘息と共通な部分と年齢層に特異的な相違部分がある.
病因として,遺伝的素因などの個体因子とアレルゲンや呼吸器感染などの環境因子がある.
【疫学】
喘息の有症率は増加傾向を示しており,乳幼児は5.1%,小児は6.4%,成人は3.0%である.発症年齢は,小児喘息では乳児期に多く,成人喘息では中高年発症が多い.家族歴でアレルギー疾患や喘息をもつ比率が有意に高い.
【経過・予後】
吸入ステロイドによる治療法で,喘息コントロールやQOLが改善し,喘息死亡者は2,000人台/年まで減少している.成人喘息では寛解に至ることは困難であるが,小児喘息では60-80%が思春期から青年期にかけて寛解する.
◆診断のポイント
喘息を「心身症喘息」と「非心身症喘息」に二分するのではなく,心理・社会的背景を理解して治療することが大切である.心身症としての気管支喘息を診断する際に重要なことは,心理・社会的因子が発症および経過に関与してい
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