診療支援
治療

抗認知症薬
anti dementia drugs
中村 祐
(香川大学教授・精神神経医学講座)

【定義】

 抗認知症薬とは認知症における中核症状(記憶障害,見当識障害,失語,失行,実行機能障害)に対しての効果をもつ薬である.現在,抗認知症薬のターゲットは,アルツハイマー型認知症Alzheimer's disease(AD)とレビー小体型認知症diffuse Lewy body disease(DLB)である.

【適応】

 わが国における抗認知症薬の適応はAD,およびDLB(アリセプトのみ)である.

【分類】

 2015(平成27)年6月末現在,抗認知症薬として製造承認されている薬剤は,コリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル(アリセプト),ガランタミン(レミニール),リバスチグミン(リバスタッチパッチ,イクセロンパッチ),およびNMDA受容体に対する非競合的アンタゴニストであるメマンチン(メマリー)である.

 ドネペジルはADにおいてすべての重症度において適応を有しており(軽度および中等度は5mg/日,高度は10mg/日の用量,普通錠,OD錠,ゼリー剤,細粒,ドライシロップの5剤形),DLBにも2014年9月適応が追加された.ガランタミンは軽度および中等度ADの重症度において適応を有している(16-24mg/日の用量,普通錠,OD錠,分包液剤の3剤形).リバスチグミンは軽度および中等度ADの重症度において適応を有している(経皮吸収型製剤).

 メマンチンは,中等度および高度ADにおいて適応を有し,コリンエステラーゼ阻害薬と併用投与が可能である(20mg/日の用量,普通錠,OD錠の2剤形).

 いずれの薬剤も,添付文書上では各適応のある重症度における「アルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制」に適応を有している.

【手順】

A.ADの診断を行う

1) 意識障害がないこと.

2) 近時記憶障害(頻回の置き忘れや探し物,発話や動作の反復)があり,失語(「あれ」,「それ」と言う

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