診療支援
治療

気道確保,人工呼吸
airway management and mechanical ventilation
太田邦雄
(金沢大学小児科学・臨床教授)

治療のポイント

・小児の気道管理にあたっては,解剖学的および生理学的特徴を理解したうえで行うことが重要である.

・バッグマスク換気の重要性を理解し,習熟してほしい.

Ⅰ.気道確保

A.体位

 小児・乳児は舌が大きく頸部が短いという解剖学的特性をもつため,気道が閉塞しやすい.仰臥位では大きい後頭部によって頭部が前屈され,さらに上気道が狭くなる.また意識障害などでは舌根沈下し気道が閉塞しやすい.舌根沈下が軽度の場合には,適切な高さの肩枕を入れるなど体位を工夫する.

B.用手気道確保

 舌根沈下が高度の場合には,下顎挙上や頭部後屈により気道を確保する.

C.単純な器具を用いての気道確保

 a)口咽頭エアウェイは意識がなく,咳や咽頭反射がない場合に用いる.サイズの目安は前歯から下顎骨までの長さである.

 b)鼻咽頭エアウェイは意識があっても使用可.挿入長の目安は外耳孔から外鼻孔までの距離である.気管チューブで代用可.

D.高度な器具を用いての気道確保

 喉頭は成人より高位かつ前方にあり,5歳頃までは輪状軟骨部が再狭窄部位となる.気管は短く,狭い.また迷走神経反射で容易に徐脈になるなどの解剖学的・生理学的特徴に注意が必要である.

 喉頭鏡のブレードは,喉頭蓋を間接的に挙上する曲型(マッキントッシュ型など)より,喉頭蓋を直接挙上する直型(ミラー型など)が良好な視野が得やすいとされる.

1.気管チューブ

 年齢により用いる気管チューブのサイズが異なる(表1).2歳以降に用いるカフなしチューブのサイズは「チューブ内径(mm)=4+(年齢÷4)」を目安にする.

 小児や乳児の緊急気管挿管に用いる気管チューブは,カフ付きでもカフなしでもよい.カフ圧を測定して過剰にならないようにする.

 2歳以降に用いるカフ付きチューブのサイズは「チューブ内径(mm)=3.5+(年齢÷4)」を目安にする.

Ⅱ.人工呼吸

A.バッグマスク換気

1.マ

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